
ようこそ、深夜資料室へ。
今夜の資料は、
少し説明が難しい記録です。
なぜなら。
それは存在しないからです。

いや待て。
存在しないなら記事終わりだろ。

そう思いますよね。
財団も同じでした。
SCP概要
SCP-3930は、
ロシアで発見された異常領域です。
ですが。
財団の記録はこう始まります。
『SCP-3930は存在しない。』

意味が分からん。
存在しないものを収容してるのか?

そこがこの記録の出発点です。
そこには何もない
最初、
研究者達は考えました。
巨大な穴ではないか。
異空間ではないか。
未知の現象ではないか。
ですが。
どれも違いました。
そこには何もない。
空気もない。
物質もない。
空間すらない。

空っぽってことか?
待て待て。
何も入ってない箱なら分かる。
でも箱そのものも無いってことか?

その認識が近いですね。
3930は『何もない空間』ではなく、
『存在という前提が欠けている領域』なのです。
入った人間
当然。
財団は調査を行います。
被験者を送る。
観測する。
記録する。
ですが。
境界を越えた瞬間、
被験者は消えます。
死ぬわけではありません。
爆発もしません。
消滅する。
それだけです。

それもう十分怖いだろ。
何が起きたかすら分からないじゃん。

問題はその後です。
見えているのに存在しない
被験者は消えた。
そのはずでした。
ですが。
外から見ている研究員には、
被験者がまだ見えている。
歩いている。
話している。
生きているように見える。

じゃあ生きてるんじゃないのか?
見えてるのに?

いいえ。
そこには誰もいません。
見えている。
ですが存在していない。
3930は、その矛盾を成立させてしまうのです。
人間は何もないを理解できない
3930の恐ろしさは、
ここから始まります。
人間は、
『何もない』という状態を理解できません。
穴なら分かる。
空白なら分かる。
暗闇なら分かる。
ですが。
3930はそれすらありません。
だから。
脳が勝手に補います。
景色を作る。
音を作る。
存在を作る。
何もない場所に、
何かを見つけてしまう。

つまりさ。
見えてるもの全部、
自分の頭が勝手に作ってるかもしれないってことか?

その可能性があります。
そして、それを否定する方法もありません。
本当に怖いのは何だったのか
SCP-3930には怪物はいません。
殺人鬼もいません。
呪いもありません。
ですが。
読者は最後に気付きます。
怖いのは、
消滅ではない。
怪物でもない。
『存在している』という感覚そのものです。
私達は、
見えるものは存在すると信じています。
ですが3930は、
その前提を壊してしまう。
見えている。
認識している。
それでも存在しない。

なんか嫌だな。
怪物の方がまだマシかもしれない。

怪物なら理解できますからね。

ですが3930は、
理解そのものを拒絶しています。
まとめ
SCP-3930は、
存在しない領域の記録です。
そこには何もありません。
空間も。
物質も。
生命も。
ですが。
人間は何もないを受け入れられない。
だから。
何かを見てしまう。
何かがいると思ってしまう。
それこそが、
SCP-3930の恐ろしさなのかもしれません。

なぁ。
本当に誰もいなかったのか?

分かりません。
ですが。
もし本当に何もなかったのなら。
私達は何を見ていたのでしょうね。

今夜の記録はここまでです。
また次の資料でお会いしましょう。
出典
作品名:SCP-3930 – The Pattern Screamer
著者:djkaktus
原文:SCP Foundation
URL:https://scp-wiki.wikidot.com/scp-3930
ライセンス
本記事は、SCP Foundation掲載作品「SCP-3930 – The Pattern Screamer」(著者:djkaktus)をもとにした解説記事です。
原文はCC BY-SA 3.0の下に公開されています。
本記事も同ライセンスに従います。
おまけ

結局さ。
あそこには何があったんだ?

何もありません。

だから怖いんだよ。



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