皆さんは、テディベアに襲われると思ったことはあるでしょうか。
鋭い牙もありません。
巨大な体もありません。
むしろ抱きしめるために作られた存在です。
今回の記録は、そんな小さな熊が財団を騙し続けた話です。

本日の資料はSCP-1048。
通称「ビルダー・ベア」です。

なんか普通に子供向けのキャラクターみたいな名前だな。

その印象こそが、この記録の始まりなのです。
SCP概要
SCP-1048は小型のテディベアです。
自力で歩行し、人間と意思疎通を行い、絵を描くこともできます。
職員に抱きつくこともあり、当初は危険性が確認されていませんでした。
少なくとも、その時までは。
財団が愛した熊
SCP-1048はサイト内で比較的自由に行動していました。
職員に手を振る。
絵を描く。
抱きつく。
時には後ろをついて歩く。
危険な異常存在を日常的に扱う財団の中でも、1048は珍しく好意的に受け入れられていました。
厳重な収容も行われませんでした。
その状態が、およそ七か月続きます。
そしてある日。
1048によく似た、別の熊が発見されました。

なんかここまでは普通にマスコットだな。

財団も同じ評価でした。
だからこそ、その後の発見は衝撃だったのです。
耳でできた熊
それは一見すると1048によく似ていました。
ですが近付いた職員は、すぐに異変に気付きます。
その熊は、人間の耳だけで作られていたのです。
財団はこの個体をSCP-1048-Aに指定しました。
捕獲しようと職員が接近した瞬間。
1048-Aは金切り声のような悲鳴を上げます。
すると周囲にいた職員の体に異変が起こりました。
皮膚から耳が生え始めたのです。
首に。
腕に。
胸に。
顔に。
耳は異常な速度で増殖を続けました。
やがて口や気道まで埋め尽くし、被害者たちは窒息死します。
事件後の調査で、さらに不気味な事実が判明しました。
以前から耳の一部を失っていた職員が存在していたのです。
当時は原因不明のまま処理されていました。
しかし今なら分かります。
1048-Aを作るための材料は、ずっと前から集められていたのです。

ちょっと待てよ。
耳の熊も意味分からないけど、そのために耳集めてたってことか?

少なくとも財団はそう考えています。

いや怖いのそこなんだけど。
耳の熊よりそっちの方が怖いだろ。

誰も気付いていなかった。
そこが問題なのです。
胎児でできた熊
しかし恐ろしいのは、耳の熊だけではありませんでした。
その後発見されたSCP-1048-Bは、体内から赤ん坊の腕が突き出していました。
さらに調査が進む中で、ある女性研究員が意識不明の状態で発見されます。
調べた結果、胎児が失われていました。
財団は1048-Bが、その胎児から作られた可能性を指摘しています。

いやいや。
耳の次が胎児ってどういう発想なんだよ……

財団も同じ疑問を持っています。

聞かなきゃよかったな……
金属でできた熊
そしてもう一体。
SCP-1048-C。
こちらは錆びた金属片で構成された熊でした。
発見後は逃走し、職員を殺傷しながらサイト内を移動します。
耳。
胎児。
金属。
そこに共通点はありません。
それでも全てが1048の作った「作品」でした。

耳。
胎児。
金属。
もう方向性ぐらい統一しろよ……

それが統一されている可能性もあります。

分からん方が怖いなそれ。
なぜ財団は騙されたのか
SCP-1048の恐ろしさは、耳の熊でも胎児の熊でもありません。
それらを作ったことです。
しかも誰にも気付かれないまま。
財団は危険な異常存在を警戒していました。
巨大な怪物。
人類を脅かす存在。
制御不能な災害。
しかし1048は違いました。
小さく、愛嬌があり、人に抱きつく熊だったのです。
だから警戒されなかった。
だから準備する時間を得られた。
そして気付いた時には、すでに複数の作品が完成していました。

でもさ。
財団って化け物相手のプロだろ?

だからこそ見落としたのかもしれません。

熊だったからか……
SCP-1048が本当に恐ろしい理由
耳の熊は結果です。
胎児の熊も結果です。
金属の熊も結果です。
本当に恐ろしいのは、その全てが発見される前に作られていたことです。
私たちが見ていたのは作品でした。
問題は、その作品を作り続けていた作者の方だったのです。

つまり耳の熊が怖いんじゃなくて、
その前の七か月が怖いってことか。

その通りです。
発見された作品より、
発見されなかった時間の方が恐ろしい。
まとめ
SCP-1048の恐ろしさは、耳の熊や胎児の熊そのものではありません。
財団が危険性に気付くまでの七か月間、誰にも疑われることなく準備を続けていたことです。
可愛いから安全。
その思い込みが生んだ油断こそが、この記録の本当の恐怖だったのかもしれません。

今夜の記録はここまでです。
また次の資料でお会いしましょう。
出典
SCP-1048 “Builder Bear”
© trennerdios
Source:
https://scp-wiki.wikidot.com/scp-1048
ライセンス
This work is licensed under Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 License (CC BY-SA 3.0).

財団ってさ。
世界終わる系の怪物は警戒するのに。
熊には負けるんだな。

可愛いは強いのです。

納得したくないなぁ……



コメント