
ようこそ、深夜資料室へ。
鏡を見ると、
そこには自分の姿が映ります。
ですが。
もし鏡の向こうに、
別の世界が存在していたとしたら。
そして。
その世界が既に滅んでいたとしたら。
今夜の資料はSCP-093。
終わった世界の記録です。
SCP概要

093って何なんだ?

円盤状の異常物体です。

ですが、本当に重要なのはその能力でした。
SCP-093は複数の色違いが存在する異常物体です。
単体でも異常性を持っていますが、
財団が注目したのは別の現象でした。
鏡と接触させることで、
鏡の向こうに未知の世界が現れるのです。
そして。
人間はそこへ入ることが出来ました。
鏡の向こう
財団は探索隊を派遣します。
未知の世界。
未知の文明。
未知の歴史。
探索隊が最初に見たのは、
どこにでもありそうな街並みでした。
道路。
住宅。
学校。
病院。
文明の痕跡は残っています。
ですが。
人がいません。

避難しただけじゃないのか?

最初はそう考えられていました。
誰もいない街
探索隊は調査を続けます。
街には生活の痕跡がありました。
食器。
家具。
車。
教会。
人間が暮らしていた証拠は大量にあります。
ですが。
誰もいない。
死体もほとんどない。
争った痕跡も少ない。
まるで。
人類だけが消えてしまったかのようでした。

嫌な静けさだな。

探索隊も同じ印象を記録しています。
残された記録
探索隊は、
様々な資料を回収します。
日記。
録音。
映像。
宗教文書。
そして。
少しずつ真相が見え始めます。
この世界にも人類はいました。
家族がいた。
社会があった。
文化があった。
私達と変わらない生活がありました。
ですが。
記録の内容は次第に不穏なものへ変わっていきます。
人々はある存在を恐れていました。
不浄な者
記録の中で繰り返し登場する言葉。
不浄な者。
The Unclean。
最初は宗教的な概念にも見えます。
ですが。
調査が進むほど、
それが単なる教義ではなかったことが分かってきます。
社会全体が恐れていた。
国家も。
軍隊も。
宗教も。
人類はその脅威を知っていました。
警戒もしていました。
抵抗もしていました。
ですが。
結果は変わりませんでした。

負けたのか。

ええ。

完全に。
探索隊が気付いたこと
探索隊は生存者を探しました。
助けを求める声を探しました。
ですが。
何も見つかりません。
ここで彼らは気付きます。
自分達は戦場へ来たのではない。
終わった場所へ来たのだと。
世界は残っています。
街も残っています。
文明も残っています。
ですが。
人類だけがいない。

助けられなかったのか。

私達が見つけた時には、もう終わっていました。
その世界は、もう終わっていた
探索隊が発見したのは、
怪物ではありませんでした。
戦争でもありませんでした。
人類の敗北です。
誰もいない家。
誰もいない街。
誰もいない世界。
そこに残されていたのは、
何かに敗れた文明の痕跡だけでした。
未来なのか。
別世界なのか。
それは今も分かっていません。
ですが。
そこにいた人々が、
私達と同じ人間だったことだけは確かです。
本当に怖いのは何だったのか

結局、何が起きたんだ。

分かりません。

分からない?

終わった後しか残っていなかったので。
SCP-093が恐ろしいのは、
異世界へ行けることではありません。
その先にあるものです。
そこには希望がありません。
逆転もありません。
残されているのは、
終末の痕跡だけです。
だからこそ。
SCP-093は多くの読者の記憶に残り続けているのです。
まとめ
SCP-093は、
鏡の向こうの世界へ繋がる異常物体です。
ですが。
本当に恐ろしいのは、
その能力ではありません。
探索隊が辿り着いた先。
そこに残されていた、
人類の敗北の痕跡です。
その世界は、
既に終わっていました。
そして私達は、
ただその記録を見つけただけだったのです。

今夜の記録はここまでです。
また次の資料でお会いしましょう。
出典
作品名:SCP-093 – Red Sea Object
著者:Unknown Author(後にNekoChrisによって大幅改稿)
原文:SCP Foundation
ライセンス
本記事は、SCP Foundation掲載作品「SCP-093 – Red Sea Object」(Unknown Author、後にNekoChrisによる改稿)をもとにした解説記事です。
原作はCC BY-SA 3.0ライセンスのもとで公開されています。
おまけ

向こうの人類は負けたんだな。

ええ。

だから私達は、その理由を探しているのです。



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