
ようこそ、深夜資料室へ。
怪談には、
終わるものがあります。
そして。
終わらないものもあります。
今夜の資料はSCP-783。
ある村で繰り返される怪異の記録です。
SCP概要
SCP-783は、
イングランドの小さな村で確認されている異常現象です。
財団が問題視したのは、
ある共通点でした。
被害は必ず、
同じ周期で始まる。
そして。
同じように人が消えていく。

12年ごとに起きる怪異って、
なんか昔話みたいだな。
でも実際に起きてるなら笑えないぞ。

ええ。
しかも、その周期は一度や二度ではありません。
何世代にもわたって続いていました。
Temby村
その村の名前はTemby。
どこにでもありそうな田舎町です。
ですが。
住民達は知っています。
また来る。
次の周期が来る。
そして。
誰かが消える。
村の人々は怪異を知らないわけではありませんでした。
むしろ逆です。
知っていて、
恐れていました。

それだけ分かってるなら、
村を捨てればいいんじゃないのか?

そう考える人もいました。
ですが、怪異は終わりませんでした。
一人になってはいけない
783には奇妙な特徴があります。
日が沈む。
家へ帰る。
そして。
一人になる。
それが始まりです。
被害者は、
必ず屋内で一人でした。
誰かといれば助かる。
一人になると狙われる。
ルールは単純です。
ですが。
単純だからこそ恐ろしい。

いや無理だろ。
今日だけならともかく、
何週間も誰かと一緒にいろって話じゃん。

ええ。
だから村人達は、
家族や隣人と集まって夜を過ごしました。

怪物を倒すためではありません。
朝まで一人にならないためです。
その夜
村人達が恐れていたのは、
死ではありませんでした。
Crooked Manに見つかることです。
見つかった人間は、
骨を折られます。
一本ではありません。
何本も。
何十本も。
腕。
脚。
背骨。
肋骨。
全て。
ですが。
死にません。
骨は再生する。
筋肉も再生する。
ですが。
元には戻らない。
伸びる。
曲がる。
歪む。
やがて。
人間だったものになります。

……死んだ方がマシじゃないか。

だから村人達は、
Crooked Manそのものよりも、
見つかることを恐れました。

それ知ってたら、
夜なんて眠れないぞ……。
曲がった男
村には古い童謡が残されています。
曲がった男。
曲がった道。
曲がった家。
本来なら、
子供向けの歌です。
ですが。
この村では違いました。
それは昔話ではありません。
警告でした。
やがて。
村には歪みが現れます。
家が曲がる。
建物が歪む。
そして。
人間も曲がる。

ちょっと待て。
人だけじゃなくて家まで曲がるのかよ。

ええ。
歪んでいたのは男だけではありません。

村そのものが、
少しずつ歪んでいったのです。
12年後
ここが783の恐ろしさです。
怪物を倒して終わりではない。
原因も分からない。
止める方法も分からない。
周期だけが残る。
12年。
また12年。
そして。
また12年。

嫌だな。
今年助かっても、
次が来るんだろ。
しかも村の人達は、
何が起きるか知ったまま待つんだよな。

ええ。
だから彼らが恐れていたのは、
Crooked Manそのものではありません。

次の周期が近付いてくることでした。
本当に怖いのは何だったのか
SCP-783の恐ろしさは、
怪物だけではありません。
突然襲われることでもありません。
終わらないことです。
今年も来る。
12年後も来る。
その次も来る。
怪異が終わらない。

戦う相手がいるならまだいい。
でも相手が時間だったら、
どうすればいいんだよ。

だからこそ、
この怪異は何世代にもわたって人々を苦しめました。
まとめ
SCP-783は、
12年周期で発生する異常現象です。
村人達は怪異を知っています。
ルールも知っています。
何が起きるのかも知っています。
ですが。
止めることは出来ません。
そして。
今日を生き延びても、
12年後にはまた始まる。
それこそが、
SCP-783という記録の恐ろしさなのかもしれません。

今夜の記録はここまでです。
また次の資料でお会いしましょう。
出典
作品名:SCP-783 – There Was A Crooked Man
著者:Tanhony
原文:SCP Foundation
ライセンス
本記事は、SCP Foundation掲載作品「SCP-783 – There Was A Crooked Man」(著者:Tanhony)をもとにした解説記事です。
原作はCC BY-SA 3.0ライセンスのもとで公開されています。
おまけ

12年後って聞くと長そうだけどさ。
気付いたら来るんだろうな。

ええ。
だから村人達は、
怪異よりも暦を恐れていたのかもしれません。



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