
ようこそ、深夜資料室へ。
今夜の資料は少し特殊です。
本来であれば、
ここでSCPの概要を説明するところですが、
それができません。
なぜなら、
説明すること自体が危険だからです。
SCP財団は世界中の異常存在を記録しています。
怪物も。
災害も。
世界を終わらせかねない存在でさえ、
報告書として保存しています。
しかし今夜の資料だけは違います。
SCP-████。
財団が言葉を捨てることになった存在です。
SCP概要

いきなり名前隠れてるんだけど。

その方が安全だからです。

安全?

ええ。
この存在については、
名前を書き、
説明し、
記録すること自体が危険とされています。

そんなことある?

本来ならあり得ません。
だからこそ財団も苦しめられました。
消える報告書
財団はいつものように記録を残そうとした。
異常存在を発見する。
観察する。
分析する。
報告書を作成する。
それは財団の日常だった。
しかしSCP-████は、
その日常を破壊した。
記録を書く。
すると消える。
情報を残す。
すると消える。
説明する。
すると消える。
そして消えるのは情報だけではない。
その情報を持っていた人間ごと、
どこかへ連れ去られる。
財団は何度も試した。
何度も失敗した。
記録試行 No.1
(記録消失)
記録試行 No.2
(記録消失)
記録試行 No.3
(記録消失)
最終通達
言語記録を断念。
図像記録へ移行。
こうして財団は、
世界でも極めて異例の決断を下す。
言葉を捨てた。
なぜ財団は言葉を捨てたのか

つまり文章を書くと来るの?

原典から読み取れる限りでは、
SCP-████は自分に関する言語情報へ反応します。

面倒どころの話じゃないな。

財団も同じことを考えたでしょう。
しかし問題は、
財団という組織そのものが
記録によって成り立っていることです。

あ。

ええ。
記録できないということは、
理解できないということ。
理解できないということは、
対処できないということです。
SCP-████の本当の恐怖

多くのSCPは姿が恐ろしい。
能力が恐ろしい。
あるいは結末が恐ろしい。
しかしSCP-████は違います。

じゃあ何が怖いの?

財団が敗北していることです。

敗北?

財団は世界中の異常存在を分類し、
収容し、
記録してきました。
ですがSCP-████に対しては、
その根幹である記録を放棄しています。
つまり原典ページに並ぶ絵や記号は、
創意工夫ではありません。
敗北の跡です。

なるほどな……。

世界最高の記録機関が、
記録することを諦めた。
それがこの存在の異常性なのです。
なぜこの作品は有名なのか

SCP-████が評価されている理由は、
能力の強さではありません。
記事そのものが異常性を表現しているからです。

記事そのもの?

普通のSCPは、
異常存在について説明する記事です。
しかしこれは違います。
記事そのものが、
説明できないという事実を体験させます。
読者はページを開いた瞬間に理解する。
財団は本当に言葉を使えなかったのだと。

説明されるより説得力あるな。
まとめ

SCP-████は恐ろしい怪物かもしれません。
危険な存在かもしれません。
しかしこの作品が語りたいのは、
怪物の強さではありません。
描かれているのは、
情報そのものを奪う異常性です。
そしてその結果として起きた、
財団の変化です。
世界中の異常存在を記録してきた組織が、
ただ一つの存在のために、
言葉を捨てた。
だからSCP-████は、
数多くのSCPの中でも特に記憶に残る作品となりました。
原典ページを開いた時、
読者が最初に感じる違和感。
その違和感こそが、
財団が払った代償なのかもしれません。

今夜の記録はここまでです。
また次の資料でお会いしましょう。
出典
作品名:SCP-2521(●●|●●●●●|●●|●)
作者:LurkD
原典:https://scp-wiki.wikidot.com/scp-2521
ライセンス
SCP-2521 by LurkD is licensed under the Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 License.
SCP Foundation:https://scp-wiki.wikidot.com/
ライセンス:CC BY-SA 3.0

そういえばさ。
SCP-2521って結局どんな──
(記録終了)

……

今の記録は破棄してください。

そうめんさん?
(応答なし)



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