
ようこそ、深夜資料室へ。
人は死を恐れます。
ですが本当に恐ろしいのは、死そのものではないのかもしれません。
誰にも知られず。
誰にも見つけられず。
誰にも覚えられないまま、
世界から消えてしまうこと。
今夜の資料はSCP-3001。
通称『赤い現実』。
SCP財団の中でも屈指の人気作であり、
そして多くの読者が「怖かった」ではなく、
「苦しかった」と語る作品です。
ですが今夜考えたいのは、
赤い現実がどんな場所なのかではありません。
世界から切り離された一人の男が、
なぜ最後まで人間でいようとしたのか。
その話です。
SCP-3001とは何か

今回は怪物いる?
なんか最近の流れだと精神攻撃系な気がするんだけど。

怪物はいません。
化け物もいません。
終始ほぼ一人です。
SCP-3001。
通称「Red Reality」。
赤い現実。
実験事故によって、財団研究員ロバート・スクラントン博士は現実の外側へと放り出されます。
そこには地面もない。
空もない。
生物もいない。
光もない。
ただ赤だけが存在する世界。

ちょっと待って。
それだけ?

それだけです。
だから恐ろしいのです。
多くのSCPは何らかの脅威を持っています。
173は首を折る。
096は追いかけてくる。
682は死なない。
しかし3001には敵がいません。
戦う相手すら存在しません。
そこにあるのは、
永遠の孤独だけです。
この物語の主人公

さて。
ここで覚えておいてほしいことがあります。
3001の主役はSCPではありません。

え?

ロバート・スクラントンです。
SCP読者が3001を愛する理由。
それは設定ではありません。
スクラントン博士だからです。
彼は天才です。
スクラントン現実錨。
財団世界を支える重要技術の開発者。
多くの職員から尊敬される研究者。
そして。
妻を愛する普通の人間でもありました。
事故発生直後。
彼はまだ冷静です。
記録を残します。
状況を分析します。
脱出方法を考えます。
いつも通り研究者として振る舞います。
しかし。
時間が経つにつれ、
少しずつ壊れていく。
人間はどこまで孤独に耐えられるのか

そうめん。
もし君が完全に一人になったらどうします?

スマホ探す。

ないです。

じゃあ叫ぶ。

誰もいません。

……

食べ物もありません。
本もありません。
音もありません。
会話もありません。
終わりもありません。
人間は社会的動物です。
私たちは思っている以上に、
他人によって自分を保っています。
笑う相手。
怒る相手。
愛する相手。
話す相手。
それらを全て失ったとき、
人間は何になるのでしょう。
3001は怪物の物語ではありません。
孤独の実験記録です。
少しずつ失われていくもの

物語が進むにつれて、
スクラントンの身体は崩壊し始めます。
皮膚。
感覚。
骨。
内臓。
時間感覚。
記憶。

読んでいて恐ろしいのは、
それが劇的ではないことです。
一気に壊れない。
少しずつ壊れる。
昨日できたことができない。
今日また何かを失う。
明日さらに失う。
それは怪物に襲われる恐怖より、
ずっと現実的です。

なんか病気とか老化に近いな。

鋭いですね。
だから3001は刺さるのです。
読者はどこかで気付く。
これはSFホラーの話ではない。
人間が老いていく話でもあるのだと。
彼を支え続けたもの

そして。
3001最大の見どころ。
アンナ・ラング。
後のアンナ・スクラントンです。

奥さん?

ええ。
奥さんです。
3001を初めて読んだ人が驚くことがあります。
それは、
スクラントンが最後までアンナの名前を忘れないことです。
周囲は崩壊する。
身体も崩壊する。
精神も崩壊する。

それでも。
彼はアンナを思い続ける。
ある意味、
この物語で最後まで残った現実は、
アンナだけだったのかもしれません。

ここで少し意地悪な質問をしましょう。
もし。
君の存在を世界中の誰も覚えていないとして。
たった一人だけ覚えていてくれる人がいる。
その人のために生きられますか?

……
それ結構キツいな。

だから3001は怖いのです。
SCP読者が泣く理由

3001を語る人たちは、
よくこう言います。
「怖かった」
ではなく。
「泣いた」
と。

なぜでしょう。
怪物に勝つ話ではないからです。
世界を救う話でもないからです。
一人の男が、
壊れながらも、
誰かを愛し続ける話だからです。

そして読者は知っています。
現実でもそうだからです。
私たちが最後まで覚えているもの。
最後まで捨てられないもの。
最後まで手放したくないもの。
それは案外、
お金でも名誉でもなく、
誰かの名前だったりするのです。
まとめ

SCP-3001を単純に説明するなら、
「現実の外側に閉じ込められた研究者の話」です。
ですが。
それだけではありません。
これは、
人間とは何かを問いかける物語です。
身体を失ったら人間ではないのか。
世界を失ったら人間ではないのか。
時間を失ったら人間ではないのか。

そして最後に。
愛する人だけが残ったとき。
その人はまだ人間でいられるのか。
SCP-3001は、
その問いに対する一つの答えなのかもしれません。

今夜の記録はここまでです。
また次の資料でお会いしましょう。
出典
SCP Foundation
SCP-3001 “Red Reality”
著者:Djkaktus
原作:
https://scp-wiki.wikidot.com/scp-3001
SCP Foundation:
https://scp-wiki.wikidot.com/
ライセンス
本記事はCC BY-SA 3.0ライセンスのもと公開されているSCP Foundationの設定・文章を引用および翻案しています。
ライセンス:
https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/

正直さ。
今回のSCP読んで一番怖かったの、
赤い世界じゃなくて「誰にも忘れられること」だったわ。

安心してください。
君の場合は変な発言が多いので、
しばらく語り継がれるでしょう。

それはそれで嫌なんだけど。



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