SCP-7179――永遠の一秒が過ぎた

SCP資料
司書
司書

ようこそ、深夜資料室へ。

もし願いが叶うなら。

病気にならず。

老いることもなく。

飢えることもなく。

好きなことだけをして生きられる。

そんな世界を望む人もいるでしょう。

では、もう一つ質問です。

それが永遠に続くとしても、

あなたは同じ答えを選びますか。

今夜の資料はSCP-7179。

ある一人の人間が体験した、

想像を絶する時間の記録です。

そうめん
そうめん

嫌な予感しかしない導入なんだけど。

司書
司書

ええ。

今夜の資料は怪物の話ではありません。

永遠の話です。

SCP概要

司書
司書

SCP-7179は、死後に発生する異常空間です。

財団の観測によって、その内部の様子が記録されています。

そこへ辿り着いた人物は、ある島で目を覚ましました。

暖かな気候。

豊富な食料。

自由な生活。

病気もありません。

苦痛もありません。

望めば酒も飲める。

趣味にも没頭できる。

何不自由ない環境です。

そうめん
そうめん

天国じゃん。

司書
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少なくとも最初は、誰もがそう思うでしょう。

死後に待っていた楽園

彼は島を歩いた。

海を眺めた。

果実を採った。

家を建てた。

誰にも急かされることはない。

生活のために働く必要もない。

病気もなければ老いもない。

島には穏やかな時間だけが流れていた。

司書
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その島は理想的でした。

働く必要はありません。

生きるために苦しむ必要もありません。

好きなことを好きなだけできる。

そんな場所です。

彼は新しい趣味を見つけた。

飽きると別のことを始めた。

建築を学んだ。

農業を学んだ。

料理を学んだ。

最初の数年間は、ごく普通に幸せだった。

そうめん
そうめん

だったら問題ないんじゃ?

司書
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問題は、その生活に終わりがなかったことです。

永遠はなぜ地獄へ変わったのか

司書
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一年。

十年。

百年。

千年。

時間だけが流れ続けます。

島には十分すぎるほどの時間があった。

彼は家を建てた。

畑を作った。

料理を極めた。

新しい遊びを考えた。

できることは片っ端から試した。

数十年が過ぎた。

数百年が過ぎた。

数千年が過ぎた。

やがて島は、一人の人間が作ったとは思えないほどの建造物で埋め尽くされていった。

だが時間はまだ残っていた。

そうめん
そうめん

それだけ時間があったら何でもできそうだけど。

司書
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何でもできるのです。

だからこそ問題でした。

やるべきことがなくなる。

知るべきことがなくなる。

新鮮な体験がなくなる。

それでも終わらない。

人間は苦痛だけで壊れるわけではありません。

変化がなくなった時にも壊れるのです。

死ねないという絶望

司書
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やがて彼は気付きます。

この楽園から出られないことに。

彼は海へ飛び込んだ。

呼吸を止めた。

高所から身を投げた。

身体が壊れるまで岩へ激突した。

だが目を覚ます。

再び島にいる。

もう一度試す。

また失敗する。

何度も。

何度も。

何度も。

死は訪れなかった。

そうめん
そうめん

それもう楽園じゃないだろ……

司書
司書

ええ。

いつの間にか楽園は牢獄へ変わっていました。

人はどれだけ生きれば満足するのか

司書
司書

さらに時間は流れます。

数万年。

数百万年。

数億年。

数十億年。

彼はもう建物を作らない。

新しいことも始めない。

海を見る。

空を見る。

ただ座る。

どれほど長い時間が過ぎたのか。

彼自身にも分からない。

島は変わらない。

自分も変わらない。

終わりだけが訪れない。

そうめん
そうめん

想像もできないな……

司書
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当然です。

人間は永遠を想像できるように作られていません。

私たちが何かを頑張れるのは、

いつか終わると知っているからです。

人生も。

仕事も。

趣味も。

人間関係も。

終わりがあるから意味を持つ。

7179は、その終わりを奪います。

SCP-7179が読者を絶望させる理由

司書
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7179が恐ろしい理由は苦痛ではありません。

怪物でもありません。

むしろ最初は理想的です。

だからこそ怖い。

もし最初から地獄なら、

誰も近付きたいとは思わないでしょう。

ですが7179は違います。

一見すると誰もが望みそうな世界です。

老いない。

病気にならない。

好きなことだけをして生きられる。

しかし永遠という時間は、

やがてその全てを意味のないものへ変えてしまいます。

そうめん
そうめん

幸せだけじゃ、人間は生き続けられないってことか。

司書
司書

おそらく。

それが7179の残酷な結論なのでしょう。

まとめ

司書
司書

SCP-7179は怪物の物語ではありません。

死後世界の裁きの話でもありません。

それは、

終わらない幸福が、終わらない絶望へ変わる物語です。

人は不幸だから苦しむのではありません。

永遠だから苦しむこともある。

彼は想像を絶する年月を過ごした。

人類の歴史など比較にならないほどの時間を。

宇宙の寿命すら短く感じるほどの時間を。

それでも終わりは訪れなかった。

そして記録の最後にはこう書かれていた。

「永遠の一秒が過ぎた」

司書
司書

今夜の記録はここまでです。

また次の資料でお会いしましょう。

出典

作品名:SCP-7179 “E is for Eternity”
作者:Placeholder McD

原典:
https://scp-wiki.wikidot.com/scp-7179

ライセンス

本記事は SCP Foundation の作品
「SCP-7179 “E is for Eternity”」
(著者:Placeholder McD)
を元に執筆しています。

原作:
https://scp-wiki.wikidot.com/scp-7179

SCP Foundation:
https://scp-wiki.wikidot.com/

ライセンス:
CC BY-SA 3.0
https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/

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