
ようこそ、深夜資料室へ。
もし。
遠い未来の誰かが、
今の私達を見ていたとしたら。
何を思うでしょうか。
尊敬するでしょうか。
失望するでしょうか。
それとも。
憎むでしょうか。
今夜の資料はSCP-1342。
人類へ届けられた、
ある文明からの最後の手紙です。
SCP概要
ある日。
財団は宇宙空間で奇妙な物体を発見します。
それは。
人類がかつて打ち上げた探査機、
ボイジャー1号によく似ていました。
ですが。
それは本物ではありませんでした。

偽物ってことか?
誰かが作ったレプリカみたいなもの?

ええ。
そして問題は、その送り主でした。
音楽を愛した文明
送り主はグリシアン。
遠い未来に存在する異星文明です。
彼らは宇宙を漂っていたボイジャーを発見しました。
そして。
その中に保存されていた音楽を聞きます。
言葉を知ります。
文化を知ります。
科学を知ります。
ボイジャーは、
人類から宇宙への自己紹介でした。
そしてグリシアンは、
その自己紹介を愛しました。

なんか嬉しい話だな。
宇宙のどこかで、
人類の音楽を好きになってくれた奴らがいたってことだろ。

彼らにとって人類は、
会ったこともない憧れの存在でした。
出会い
やがて未来で、
人類とグリシアンは出会います。
それは歴史に残る邂逅でした。
グリシアンは人類を知っていました。
音楽を知っていた。
言葉を知っていた。
文化を知っていた。
ボイジャーを通して。
ずっと昔から。
人類という存在を愛していました。
そして人類もまた、
彼らから多くを学びます。
科学。
技術。
芸術。
両者は交流を重ねました。
共に発展した。
共に宇宙へ進出した。
互いを理解しようとした。
少なくとも。
最初は。

これもう理想のファーストコンタクトじゃん。
映画ならハッピーエンド確定の流れだろ。

だからこそ、この後の結末が重いのです。
滅亡
人類は、
グリシアンを滅ぼします。
理由は分かりません。
戦争だったのか。
恐怖だったのか。
誤解だったのか。
原典は語りません。
ですが結果だけが残ります。
文明は滅びる。
星は荒廃する。
多くの命が失われる。
そして。
グリシアンは滅亡へ向かいました。

なんでだよ。
せっかく仲良くなれたんだろ?
なんでそんなことになるんだよ。

その理由は最後まで語られません。
だからこそ読者は想像するしかないのです。
復讐
ここで。
彼らには一つの選択肢がありました。
過去へ干渉することです。
人類と出会う前に。
人類を消す。
あるいは。
地球そのものを消してしまう。
そうすれば。
自分達の未来は変わるかもしれない。

正直。
俺ならそう考えるかもしれない。
滅ぼされた側なんだから。

ですが。
彼らはそうしませんでした。
なぜなら。
彼らは人類を知っていたからです。
ボイジャーを通して。
音楽を通して。
言葉を通して。
人類の美しさを知っていた。
だから。
最後まで憎みきれなかったのです。
最後の手紙
グリシアンは復讐を選ばなかった。
代わりに。
一つのメッセージを残します。
未来から過去へ。
人類へ。
最後の言葉として。

警告か?
それとも恨み言か?

いいえ。
彼らが残したのは、
愛でした。
『あなた達が何になろうとも。
あなた達は美しい。』
人類に滅ぼされた側の言葉です。
それでも。
彼らは最後まで、
人類を愛していました。
本当に残ったもの
SCP-1342は、
未来の異星文明の記録です。
ですが。
本当に語られているのは、
宇宙人の話ではありません。
許しの話です。
そして。
愛の話です。

なんかさ。
人類の方が怪物みたいじゃん。
なのに許されてるのが、
逆に苦しいな。

ええ。
だからこの作品は、
読者に優しい気持ちだけを残しません。
感謝と同時に、
少しの後ろめたさも残していくのです。
まとめ
SCP-1342は、
未来から届けられたメッセージです。
それは警告ではありませんでした。
呪いでもありませんでした。
人類に滅ぼされた文明が、
最後に送った手紙でした。
そして。
その手紙には、
たった一つの想いが込められていました。
『それでも、あなた達は美しい。』
その言葉は。
人類への賛辞であると同時に、
問いかけでもあります。
私達は本当に、
その言葉に値する存在なのか。
だからこそ。
この記録は今も多くの読者の心に残り続けているのでしょう。

今夜の記録はここまでです。
また次の資料でお会いしましょう。
出典
作品名:SCP-1342 – To the Makers of Music
著者:A Random Day
原文:SCP Foundation
URL:https://scp-wiki.wikidot.com/scp-1342
ライセンス
本記事は、SCP Foundation掲載作品「SCP-1342 – To the Makers of Music」(著者:A Random Day)をもとにした解説記事です。
原文はCC BY-SA 3.0の下に公開されています。
本記事も同ライセンスに従います。
おまけ

なぁ。
結局さ。
グリシアンは人類を許したのかな。

許したのかもしれません。
あるいは最後まで理解できなかったのかもしれません。

ですが。
それでも愛していた。
少なくとも、その事実だけは確かです。



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