世界を見限った男は、地下で何を作ったのか――SCP-1461「House of the Worm」

奇妙な記録
そうめん
そうめん

地下に秘密施設を作るって、なんか悪の組織みたいだな。

司書
司書

始まりだけなら、そう見えるかもしれません。

そうめん
そうめん

違うの?

司書
司書

作ったのは、一人の退役軍人です。

そうめん
そうめん

何のために?

司書
司書

世界を終わらせるため。

司書
司書

あるいは。

司書
司書

この世界から逃げ出すためです。

1916年。

フランス北部。

ソンム。

第一次世界大戦でも。

特に凄惨な戦場として知られる場所だ。

塹壕。

砲撃。

泥。

毒ガス。

そして。

大量の死者。

そこから。

一人の男が生きて帰った。

だが。

戦場へ行く前と。

同じ人間として帰ってきたわけではなかった。

彼は。

社会そのものに。

強い虚無を抱くようになった。

そして。

イングランドの屋敷の地下で。

何かを作り始める。

それから約20年後。

屋敷は。

地下施設ごと、この世界から消えた。

SCP Foundationで公開されている創作作品。

SCP-1461「House of the Worm」。

これは。

世界に絶望した一人の人間が。

世界の外側へ手を伸ばした記録である。

1890年代に建てられた屋敷

SCP-1461の地上部分は。

1890年頃に建てられた。

イギリスの大きな屋敷だ。

二階建て。

十二の寝室。

四つの浴室。

書斎。

図書室。

大きな玄関ホール。

外から見れば。

古い英国の邸宅にすぎない。

実際。

地上部分から。

異常現象が発生したことはない。

問題は。

地下だった。

地下に広がっていた「工場」

地下室から。

さらに下へ進む。

そこには。

屋敷とは似ても似つかない。

巨大な施設が広がっている。

コンクリート。

鉄。

真鍮。

歯車。

ピストン。

蒸気管。

冷却管。

そして。

地球上では確認されていない素材。

構造そのものも。

まともではない。

扉を開ければ。

壁しかない。

別の扉の先には。

巨大な空洞。

階段を上れば。

何もない空間へ出る。

財団が確認しただけでも。

地下十二層。

しかも。

さらに下が存在すると考えられている。

全体の構造は。

現在も完全には分かっていない。

そうめん
そうめん

一人で作れる規模じゃないだろ。

司書
司書

ええ。記録では、50人から100人ほどが建設に関わったと推測されています。

そうめん
そうめん

そんな人数集めて、何を作ろうとしてたんだよ。

司書
司書

それを理解するには。まず、この施設を作った男が何を見たのかを知る必要があります。

ソンムから帰ってきた男

屋敷の所有者は。

第一次世界大戦に従軍していた。

ソンムの戦いで負傷し。

終戦直前。

ロンドンの病院へ送られている。

原典では。

戦争での経験が。

彼の思想へ。

強烈な影響を与えたとされている。

人間。

社会。

文明。

彼は。

それらに対して。

虚無的な考えを持つようになった。

そして。

地下施設を建設する。

目的は。

記録に残された表現では。

「世界を終わらせる、あるいは世界から脱出する」こと。

だが。

どうやって。

何から逃げようとしていたのか。

その全貌は。

残されていない。

思想は、やがて宗教になった

男を手伝った人々は。

単なる労働者ではなくなっていった。

彼を中心とする集団は。

やがて。

SCP-1461そのものを。

崇拝するようになる。

地下に作られた。

巨大な機械。

意味の分からない部屋。

異常な装置。

施設は。

いつしか。

ただの建造物ではなく。

彼らにとって。

信仰の対象になっていた。

そして1941年。

屋敷と地下施設は。

突然、消失する。

男。

妻。

二人の子ども。

そして。

その場にいた信奉者たちも。

施設とともに消えた。

十一日後。

屋敷は。

何事もなかったかのように戻ってきた。

ただし。

中にいた人々は。

同じ状態ではなかった。

人間だったもの

地下施設には。

人型の存在が徘徊している。

財団は。

それらをSCP-1461-1と呼ぶ。

確認されているのは。

およそ57体。

その中には。

後に侵入した財団職員だった者も含まれている。

つまり。

最初から怪物だったわけではない。

人間が、施設のどこかで改造されている。

金属製の歯。

爪のような突起。

骨へ直接取り付けられたボルト。

補強された脊椎。

機械へ置き換えられた臓器。

元の人格や。

高度な知性は。

ほとんど残っていない。

暗い地下で。

巣を作り。

互いを食べ。

侵入者を襲う。

さらに。

施設そのものが。

彼らを誘導しているような挙動まで確認されている。

配管から響く。

金属的な叫び。

それを聞けば。

彼らはその場所から離れる。

逆に。

換気設備から。

血を思わせる匂いが流されると。

そこへ集まってくる。

まるで。

建物自体が生き物を飼っているように。

そうめん
そうめん

これ、最初に作った男が全部やったの?

司書
司書

そこが分かりません。

そうめん
そうめん

作った施設なのに?

司書
司書

十一日間の消失前から存在していたものと、戻ってきたあとに現れたものを、完全には区別できないのです。

十一日間、どこへ行っていたのか

SCP-1461最大の謎は。

この十一日間にある。

施設は。

どこへ消えたのか。

地下に存在する。

異常な素材。

不可解な構造。

奇妙な装置。

人間を改造する仕組み。

それらは。

消失する前から。

すべて存在していたのか。

それとも。

十一日間のどこかで。

何かと接触したのか。

財団にも。

答えはない。

ただ。

ひとつだけ分かる。

男は。

この世界から。

逃れようとしていた。

そして。

少なくとも十一日間、本当にこの世界から消えた。

最深部で見つかった男

地下十二層。

財団が「触媒室」と呼ぶ部屋がある。

そこには。

歯車。

ケーブル。

滑車。

ネジ。

ベルト。

さまざまな金属を組み合わせた。

巨大な機械が置かれている。

だが。

その一部は。

約12立方メートルにわたって。

強引に引き抜かれていた。

機械の上には。

金属製のベッド。

そこに。

乾燥した。

人間の男性の遺体が残されていた。

胸には。

巨大な注射器。

そこから伸びた管は。

機械へ接続されている。

設計から見れば。

その身体から取り出した何かを。

失われた機械部分へ。

送り込んでいたらしい。

そして機械は。

現在も。

45分ごとに。

起動しようとする。

だが。

重要な部分が失われているため。

毎回失敗する。

熱を持ち。

停止する。

冷える。

そして。

45分後。

また。

動こうとする。

「私は罠であり、罠にかかった者である」

地下を徘徊する存在の中には。

肺と食道を。

蓄音機へ置き換えられた個体がいる。

その装置は。

同じ言葉を。

繰り返し流し続ける。

その内容には。

相反する表現が並んでいる。

選択と支配。

過去と現在。

悪と肉体。

美と混沌。

そして。

自分自身を。

罠であり。

同時に。

罠にかかった存在だと語る。

最後に現れるのが。

「Worm――虫」という言葉だった。

House of the Worm。

虫の家。

それが。

この記録につけられた名前である。

世界から逃げれば、本当に救われるのか

SCP-1461を作った男は。

戦争を見た。

人間が。

人間に何をできるのか。

その極端な姿を。

実際に経験した。

そして。

世界を見限った。

だから。

世界を変えるのではなく。

終わらせる。

あるいは。

逃げる方法を探した。

だが。

十一日後。

帰ってきた屋敷の地下にあったのは。

救済ではなかった。

人間を壊し。

機械へ変え。

身体さえ。

部品として扱う場所だった。

彼が。

最初からこれを望んでいたのか。

それとも。

十一日間のどこかで。

別の何かに変えられたのか。

原典は。

そこまで答えてくれない。

ただ。

ひとつだけ。

皮肉なことが残る。

世界から逃げるために。

巨大な施設を作った男は。

最後には。

自分が作ったものの中に取り込まれていたのかもしれない。

そうめん
そうめん

逃げようとした先が、もっと酷い場所だったのかな。

司書
司書

それすら分かりません。

そうめん
そうめん

じゃあ、あの地下施設が何なのかも?

司書
司書

完成品なのか。失敗作なのか。あるいは、何か別のものへ変わったのか。

そうめん
そうめん

45分ごとに、まだ動こうとしてるんだよな。

司書
司書

ええ。

司書
司書

何十年経っても。

司書
司書

欠けた部品を待つように。

司書
司書

同じ動作を繰り返しています。

司書
司書

もし。

司書
司書

いつか失われた部分が戻ったなら。

司書
司書

あの男が完成させようとしていたものが。

司書
司書

ようやく動き出すのかもしれません。

司書
司書

それが。

司書
司書

この世界から逃げるための装置なのか。

司書
司書

この世界を終わらせるための装置なのかは。

司書
司書

まだ誰にも分かりません。

司書
司書

今夜の記録はここまでです。

司書
司書

また次の資料でお会いしましょう。

資料・出典

SCP-1461「House of the Worm」は、SCP Foundationで公開されている創作作品です。原典では、第一次世界大戦を経験した屋敷の所有者が建設した巨大地下施設、1941年に発生した11日間の消失、内部を徘徊する機械化された人型存在、異常な地下設備などが記録されています。本記事ではそれらをもとに、「世界に絶望した人間が世界そのものから逃れようとしたとき、何を作ってしまうのか」という視点から整理・考察しています。SCP-1461およびSCP Foundationに関する記述は創作上の設定です。

原典:SCP-1461 — House of the Worm(SCP Foundation、CC BY-SA 3.0)

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