
ようこそ、深夜資料室へ。
花には不思議な力があります。
言葉を持たなくても、
そこに咲いているだけで誰かの記憶を呼び起こす。
だから人は花を贈ります。
祝福のために。
感謝のために。
そして時には、
別れのために。
今夜の資料はSCP-1787-JP。
一輪の花と、
ある親子の記録です。

タイトルからして嫌な予感しかしないんだが。
SCP概要

SCP-1787-JPは、
特定の女性の背後に発生する異常な花です。
花は常に対象の背後へ出現し続けます。
しかし奇妙なことに、
対象本人はその花を視認できません。
鏡にも映らず、
写真にも写らない。
どれほど振り返っても、
決して見ることはできません。

背後にずっと花があるのに見えないのか。

ええ。
そしてその花には、
もう一つ特徴があります。
対象から距離を取ろうとするのです。
まるで、
見つからないようにしているかのように。
花は何から逃げていたのか
花は咲き続ける。
背後で。
視界の外で。
決して見つからない場所で。
それはまるで、
誰かの視線を恐れているようだった。

普通逆じゃないか?
花なら見てもらいたいだろ。

私もそう思います。
ですがこの作品の花は違う。
見られることを避ける。
近付かれることを避ける。
その行動には、
はっきりとした意思が感じられます。

誰から逃げてるんだ?

そこがこの作品の核心です。
財団が見ていたもの

財団の調査によって、
対象女性とその娘の関係が明らかになります。
母親である藤崎は、
娘の杏へ長年にわたる虐待を行っていました。
暴力。
侮辱。
支配。
そして無関心。

……。

ですが、
ここで重要なのは虐待の内容ではありません。
インタビュー記録です。
藤崎は語る。
自分は悪くないと。
娘は弱かっただけだと。
自分は間違っていないと。
そこに後悔はない。
反省もない。
理解もない。

最後まで分かってないのか。

ええ。
だからこの作品は苦しいのです。
杏が残したもの

読者の多くは途中で気付きます。
あの花は何なのか。
なぜ逃げるのか。
なぜ母親の背後へ咲くのか。

娘か。

そう解釈できます。
杏そのもの。
あるいは杏の想い。
作品は断言しません。
ですが、
花の振る舞いはあまりにも象徴的です。
母親から距離を取る。
見つからないようにする。
それでも、
完全には離れない。

それが一番しんどいな。

ええ。
もし憎しみだけなら、
もっと遠くへ行けたはずです。
なぜこの作品は心に残るのか
理解されないことはある。
想いが届かないこともある。
それでも人は、
誰かを想い続けてしまう。
たとえ相手が、
最後まで振り返らなかったとしても。

俺さ。
読んでてずっと思ってたんだ。
なんで杏はあんな母親を恨まなかったんだろうな。

分かりません。
作品も答えを示しません。
ですが、
だからこそ読者は考え続けます。
怒りだったのか。
諦めだったのか。
愛情だったのか。
あるいは、
そのどれでもなかったのか。

答えがないのに忘れられないな。

ええ。
この作品が読者に残すのは恐怖ではありません。
一つの感情です。
どうしても言葉にならない感情だけが、
静かに残り続けるのです。
まとめ

SCP-1787-JPは花の物語です。
ですが読者が覚えて帰るのは、
花の異常性ではありません。
理解されなかった娘。
理解しようとしなかった母親。
そしてその間に残された距離です。
花は最後まで咲き続けます。
見つからない場所で。
手の届かない場所で。
まるで、
誰かの気持ちそのもののように。

今夜の記録はここまでです。
また次の資料でお会いしましょう。
出典
作品名:SCP-1787-JP「ただあなたの側に咲く」
著者:JOICL
原作:
https://scp-jp.wikidot.com/scp-1787-jp
SCP Foundation:
https://scp-wiki.wikidot.com/
ライセンス
本記事はCC BY-SA 3.0ライセンスのもと公開されているSCP Foundationの設定・文章を引用・翻案しています。
ライセンス:
https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/

花言葉って調べると大体ロマンチックなのにな。

時々、そうではない花もあります。

調べるのちょっと怖くなったわ。



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