コトリバコ――人が作った最悪の呪い

怪異記録
司書
司書

ようこそ、深夜資料室へ。

怪談には様々な呪いがあります。

見てはいけないもの。

触れてはいけないもの。

聞いてはいけないもの。

ですが今夜の記録は少し違います。

今夜の呪いは、

怪物が生み出したものではありません。

神が与えたものでもありません。

人間が作った呪いです。

そしてその呪いは、

何十年もの間、

誰にも終わらせることができませんでした。

怪異記録概要

司書
司書

コトリバコは、2005年にインターネット掲示板へ投稿された怪談です。

現在ではネット怪談の代表作の一つとして知られています。

物語は一人の女性が古い納屋で木箱を見つけるところから始まります。

そうめん
そうめん

怪談の定番だな。

絶対触っちゃいけないやつじゃん。

司書
司書

ええ。

そして実際に触ってしまいます。

女性は何気なく箱を持ち出します。

しかしそれを見た友人のMは、顔色を変えました。

すぐに父親へ連絡し、

異常なほど慌て始めるのです。

そうめん
そうめん

箱見ただけで?

司書
司書

普通の箱ならそうはなりません。

ですがMは、

その箱の正体を知っていました。

納屋で見つかった箱

司書
司書

Sが見つけた箱は、長い年月を経た古い木箱でした。

しかしMは箱を見るなり怯えます。

祓いの準備を始め、

父親へ連絡を取り、

Sから箱を遠ざけようとする。

まるで爆弾でも見つけたかのような反応でした。

やがてMは語ります。

その箱の名前を。

コトリバコ。

ある地域で代々恐れられてきた呪具の一種でした。

コトリバコの正体

司書
司書

コトリバコ。

漢字では

「子取り箱」

と書きます。

そうめん
そうめん

もう名前から嫌だな。

司書
司書

ええ。

原典では、

女性や子供へ強い影響を与える呪具として語られています。

特に妊婦や幼い子供は危険とされていました。

そうめん
そうめん

呪いの箱ってことか。

司書
司書

そうですね。

ただし、この話が恐ろしいのは箱の性能ではありません。

むしろ、

なぜそんなものが作られたのか。

そこです。

なぜ作られたのか

司書
司書

Mや老人たちの話から、

コトリバコの由来が語られます。

それは怪異の伝承ではありませんでした。

昔。

ある集落は差別や迫害を受けていたといいます。

力では勝てない。

人数でも勝てない。

その中で生まれたのが、

コトリバコという呪術でした。

そうめん
そうめん

つまり最初から人間が作ったのか。

司書
司書

ええ。

そこが重要です。

コトリバコは怪物ではありません。

神の罰でもありません。

人間が人間を呪うために生み出したものです。

司書
司書

人が人を憎み。

人が人を恐れ。

その果てに作られた箱。

だからこそ、

この怪談は異様な現実味を持っています。

チッポウ

司書
司書

原典では、

コトリバコには複数の種類が存在すると語られます。

その中でも特に危険視されるものの一つが、

チッポウ

です。

そうめん
そうめん

なんかゲームのボスみたいな名前だな。

司書
司書

実際、笑えない代物です。

原典では、

子供の身体の一部などを材料として用いた、

より強力なコトリバコの存在が語られています。

チッポウもそうした種類の一つとされています。

ただし詳細は伝承によって異なり、

原典でも全てが明確に説明されるわけではありません。

そうめん
そうめん

もうその時点で十分嫌なんだけど。

司書
司書

ええ。

重要なのは、

コトリバコが単なる一つの呪具ではなく、

体系化された呪術として存在していたことです。

誰も終わらせなかった

司書
司書

ここから話はさらに嫌な方向へ進みます。

コトリバコは危険でした。

誰も持ちたくありません。

誰も関わりたくありません。

ですが。

処分もできませんでした。

そうめん
そうめん

じゃあどうしたんだ?

司書
司書

管理です。

代々。

順番に。

引き継ぎ続けたのです。

司書
司書

箱は受け継がれる。

次の家へ。

また次の家へ。

誰も終わらせられないまま。

何十年も。

そしてある時、

老人Jは管理の事実を十分に伝えませんでした。

危険を説明しなかった。

だから箱は納屋に残った。

そしてSが見つけた。

つまり。

今回の事件は、

呪いだけが原因ではありません。

そうめん
そうめん

人間のせいでもあるってことか。

司書
司書

ええ。

むしろそちらの方が大きいでしょう。

コトリバコは何を呪ったのか

司書
司書

コトリバコは女性や子供へ影響すると語られます。

血筋を断つ。

家系を絶やす。

そうした目的があったとも言われています。

ですが。

私は別の見方もできると思っています。

そうめん
そうめん

別の見方?

司書
司書

コトリバコが本当に呪ったのは、

人間そのものだったのではないかと。

作った人間。

隠した人間。

先送りした人間。

押し付けた人間。

誰も終わらせようとしなかった。

だから呪いは残り続けた。

司書
司書

怪異は確かに恐ろしい。

しかし。

怪異を生み出したのも人間なら、

怪異を受け継がせたのも人間でした。

まとめ

司書
司書

コトリバコは有名な呪いの箱です。

ですが。

本当に恐ろしいのは箱ではありません。

人が生み出した呪いが、

何十年も終わることなく残り続けたことです。

作った人。

隠した人。

見て見ぬふりをした人。

その全てが少しずつ関わりながら、

呪いは受け継がれていきました。

司書
司書

怪異は時に人を呪います。

ですがコトリバコは違います。

この呪いは最初から最後まで、

人の手によって生まれ、

人の手によって受け継がれました。

だからこそ、

今なお多くの人の記憶に残り続けているのかもしれません。

司書
司書

今夜の記録はここまでです。

また次の資料でお会いしましょう。

出典

作品名:コトリバコ

初出:2ちゃんねる オカルト板「洒落にならないほど怖い話を集めてみない?」投稿作品

ライセンス

本記事はインターネット上で公開された怪談「コトリバコ」をもとに解説・考察したものです。

おまけ

そうめん
そうめん

司書、呪いって相続できるんだな。

司書
司書

したくない相続ですね。

コメント