怪異記録概要

ようこそ、深夜資料室へ。
今夜の資料は窓です。
部屋の中から外を見るためのもの。
光を取り入れるためのもの。
私達は普段、
そう考えています。
ですが。
夜になると、
多くの人は無意識にカーテンを閉めます。
外は見えないはずなのに。
なぜか窓だけは気になってしまう。
今夜は「窓」という怪異を辿ってみましょう。

言われてみれば、
寝る前は必ず閉めるな。
夜になると窓を閉める理由

昔の家には、
雨戸や障子がありました。
日が暮れると閉める。
朝になれば開ける。
それが日常でした。

防犯のためじゃないのか?

もちろんそれもあります。
ですが民俗学では、
夜は人の時間ではなくなる。
そんな考え方も各地に残っています。
だから窓を閉める。
外と内を分けるためです。

生活の知恵でもあり、
境界でもあったのか。
窓は境界だった

扉は人が通ります。
ですが。
窓は視線だけが通ります。

確かに。
見えるけど行けないな。

だから昔から、
窓は現実と異界の境界として描かれてきました。
外を見る場所。
ですが同時に、
外から見られる場所でもあるのです。
窓を叩く怪談

怪談で最も多い窓の異変は、
窓を叩く音でしょう。
コン。
コンコン。
夜中。
誰かが窓を叩く。
ですが、
開けても誰もいません。

それだけなのに怖いな。

ええ。
扉なら訪問者です。
ですが窓を叩くということは、
そこへ来る理由がない。
だから人は、
違和感を覚えるのです。
夜の窓は鏡になる

でもさ。
夜って外見えなくなるよな。

その通りです。
昼は外が見えます。
ですが夜は、
部屋の明かりがガラスへ映り込み、
窓は鏡になります。

鏡の記事と似てるな。

ええ。
違うのは、
鏡ではないことです。
鏡だと思っていない場所が、
突然鏡になる。
だから。
自分の後ろに何かが映った気がする。
そんな体験が生まれるのです。
人は「見られている」と感じてしまう

人間は、
視線に非常に敏感です。

誰かに見られてる気がするってやつか。

ええ。
実際には誰もいなくても、
暗闇の向こうに誰かがいると、
脳は想像してしまいます。
これは危険を避けるために身についた、
人間の本能とも言われています。

だから窓の外を見ると、
妙に落ち着かないのか。
世界の窓の伝承

世界にも、
窓にまつわる伝承は数多く残っています。
悪霊が窓から入る。
夜は窓を開けたまま眠ってはいけない。
窓辺へ魔除けを置く。
地域は違っても、
窓を境界と考える文化は少なくありません。

日本だけじゃないんだな。

人は昔から、
窓の向こう側を完全には信用していなかったのでしょう。
なぜ夜の窓は怖いのか

結局。
窓って何が怖いんだろうな。

昼は、
あなたが窓の外を見ています。
ですが夜は違います。
外が暗くなると、
あなたには外が見えなくなります。
それでも。
外からも見えなくなったとは限りません。
窓は、
外を見るためのものではありません。
外と繋がるための境界なのです。
まとめ

夜になると窓を閉める文化。
窓を叩く怪談。
世界に残る窓の伝承。
そして、
見られていると感じる人間の心理。
窓は、
ただ景色を見るためのものではありませんでした。
人は昔から、
窓の向こうに何かがいるかもしれない。
そんな想像を繰り返してきたのです。

今日だけは、
カーテン閉めるの早くなりそうだな。

それが良いでしょう。
閉める理由は、
一つとは限りませんから。
今夜の記録はここまでです。
また次の資料でお会いしましょう。
出典
・窓・雨戸・障子に関する日本民俗学資料
・窓を境界とする世界各地の民間伝承
・窓を叩く怪談・都市伝説に関する資料
・視線知覚および「見られている感覚」に関する心理学・認知科学資料
・魔除けと窓辺の風習に関する民俗学資料
おまけ

寝る前って、
ついカーテン閉めたくなるよな。

自然なことです。

防犯のためだろ?

ええ。
どちらのためかは分かりませんが。

……その言い方やめろ。


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