猿夢――夢の続きが始まった時、本当の恐怖が始まる

怪異記録
司書
司書

ようこそ、深夜資料室へ。

夢は目覚めれば終わります。

どれほど恐ろしい夢でも。

どれほど鮮明な夢でも。

朝になれば現実へ戻る。

それが普通です。

ですが今夜の記録は違います。

目覚めても終わらない。

むしろ、続きを待っている。

そんな悪夢の話です。

今夜の資料は――

猿夢。

インターネット怪談史に残る、最も有名な悪夢の一つです。

怪異記録概要

司書
司書

猿夢は、インターネット上で広まった怪談です。

内容は非常に単純です。

夢の中で奇妙な列車へ乗る。

それだけです。

ですが、その列車は普通ではありません。

そしてその夢は、一度では終わりません。

そうめん
そうめん

夢の続きってだけでも結構嫌だな。

司書
司書

ええ。

そして、その続きを覚えているのは主人公だけではなかったのです。

乗ってはいけない列車

夢の中で、主人公は無人駅のホームに立っていた。

夜だった。

人気はない。

聞こえるのは風の音だけ。

しばらくすると駅員が現れる。

その駅員は不安そうな顔でこう言った。

「これから来る電車には乗らない方がいい」

理由は教えてくれない。

ただ、それだけを告げて去っていった。

やがて列車が到着する。

先頭車両は異様だった。

まるで猿の顔のような形をしていた。

主人公は不気味さを感じながらも、

なぜか列車へ乗り込んでしまう。

列車は発車した。

そうめん
そうめん

この時点で降りろよ。

司書
司書

夢というものは不思議です。

おかしいと思っていても従ってしまう。

それが後の恐怖へ繋がります。

活けづくり

列車は暗闇の中を進む。

しばらくしてアナウンスが流れた。

「次は活けづくり〜 活けづくりです〜」

意味が分からない。

だが列車が停車すると、

乗客の一人が連れ出された。

そして殺された。

車内は静まり返る。

誰も抵抗しない。

誰も逃げない。

列車は再び走り出す。

主人公は恐怖で目を覚ました。

汗をかいていた。

夢だった。

そう思った。

そうめん
そうめん

ここで終わるならただの悪夢なんだけどな。

司書
司書

そうです。

猿夢が有名になったのはここからです。

夢の続き

安心した主人公は再び眠る。

しかし。

気が付くとまた列車の中にいた。

同じ車内。

同じ乗客。

同じ猿夢。

夢の続きだった。

アナウンスが流れる。

「次はえぐり出し〜 えぐり出しです〜」

列車は進む。

乗客は減っていく。

駅へ着くたびに。

一人ずつ。

確実に。

主人公は理解した。

このまま乗っていれば、

いずれ自分の番が来る。

そうめん
そうめん

ここ怖いな。

夢なのに続き物なんだ。

司書
司書

ええ。

そして主人公も同じことを考えました。

逃げなければならない、と。

車掌

主人公は列車から逃げ出した。

夢の中を走る。

ただ必死に。

列車から離れるために。

すると後ろから声が聞こえた。

車掌だった。

怒ってはいない。

追いかけてもこない。

ただ静かに言う。

「また逃げるんですか〜」

主人公は振り返らない。

走り続ける。

すると車掌は続けた。

「次に来た時は最後ですよ〜」

主人公はそこで目を覚ました。

そうめん
そうめん

うわぁぁぁ…。

司書
司書

この一言によって、

ただの悪夢だった話が怪談へ変わります。

なぜ夢の続きが怖いのか

そうめん
そうめん

十分この時点で怖いわ

活けづくりとかえぐり出しとか

司書
司書

もちろん恐ろしいです。

ですが猿夢が今も語り継がれている理由は別にあります。

それは、

夢が終わらなかったことです。

そうめん
そうめん

ああ。

二回目か。

司書
司書

ええ。

一度目で目を覚ます。

普通ならそこで終わりです。

ですが猿夢は違う。

再び眠ると、

夢の続きを始める。

しかも前回の出来事を引き継いだまま。

だから読者は思うのです。

あれは本当に夢だったのだろうか、と。

なぜ車掌は恐ろしいのか

司書
司書

そしてもう一つ。

車掌は主人公を覚えていました。

そうめん
そうめん

それが一番嫌なんだよな。

司書
司書

夢は本来、

目覚めた瞬間に途切れるものです。

ですが車掌は違う。

主人公が逃げたことを知っている。

前回の出来事を記憶している。

まるで夢の外側に存在しているかのように。

だから不気味なのです。

そうめん
そうめん

夢の中のキャラクターじゃなくなるんだな。

司書
司書

その瞬間、

読者はただの悪夢では済まなくなります。

なぜ今でも語り継がれているのか

司書
司書

猿夢には派手な設定がありません。

怪物もほとんど出てきません。

それでも長く語り継がれています。

理由は、

誰でも夢を見るからです。

そうめん
そうめん

つまり他人事じゃない。

司書
司書

ええ。

今夜かもしれない。

明日かもしれない。

だから読者は自分を主人公へ重ねてしまう。

そして、

「また逃げるんですか〜」

という一言だけが頭に残るのです。

まとめ

司書
司書

猿夢は列車の怪談ではありません。

悪夢の怪談でもありません。

それは、

終わったはずの夢が終わっていなかった物語です。

そして本当の恐怖は、

活けづくりでも。

えぐり出しでもありません。

二度目に目を閉じた瞬間から始まります。

だからこそ猿夢は、

今もなおネット怪談の代表作として語り継がれているのでしょう。

司書
司書

今夜の記録はここまでです。

また次の資料でお会いしましょう。

出典

発祥:インターネット怪談「猿夢」

※本記事は原典として広く知られる猿夢の内容をもとに整理・考察したものです。

そうめん
そうめん

もし猿夢見たらどうしよう。

司書
司書

安心してください。

そうめん
そうめん

おっ。

司書
司書

まず夢だと気付くところからです。

そうめん
そうめん

無理だな。

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